ベトナムの電気事情

厳冬の日本から厳冬のベトナムへ出張です。

ベトナムが寒い?

違和感があるかもしれませんが、30年ぶりの大寒波です。

ハノイ郊外では雪が降り、農作物や畜産業に被害が出ました。

そんなベトナムからベトナムの電力事業をお伝えします。

 

と言いますか、JETROがよくまとめてますので、こちらをご覧いただくのが一番です。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/b16ee75e25390826/vietnamelectricity2015_201508.pdf

回避可能費用

話しを元に戻します。

一部の新電力等において、小売契約を前提とせず、買い取った電源をそのまま取引所で売却している。その場合、 転売益が小売電気事業者に残り、需要家に還元されず、国民負担の増加につながる。したがって、激変緩和措置を設ける場合でも、国民の負担の増加につながらないよう、不当な裁定取引への対応が必要ではないか。
と、ディスカッションメモにも記載されています。

対応が必要というよりも、制度を変更する必要があるのは当然のことでしょう。
発電事業者から買ってきたものを市場で転売しただけで税金を用いて巨万の富を得ることができることは防がなくてはなりません。

根本的な矛盾点として、

『 固定価格買取制度は回避可能費用が低いほど交付される交付金が増えるため、再生可能エネルギー 電気の価値を下げる方向にインセンティブが働くことになっており、おかしい』
のです。

結果として、回避可能費用として市場価格指標を用いることで落ち着いていきます。
市場価格市場の細かいところは、スポット市場と1時間前市場の加重平均(30分値をそのまま用いる)、スマートメーターによる30分値が利用できない場合は、プロファイリングで対応などの案が出ていますが、要するに市場価格を用いるということです。

当然のことですよね。

実際に調整に使われるのは発電単価が高い火力になる傾向があるのは事前に明らかであったのですから、回避可能費用は全電源の平均ではなく、市場価格にしておけば済んだはずです。
何故、全電力平均になったのでしょうか?誰が損をして誰が得をしたのでしょうか?
変更や、対応ではなく、改善ですね。

インドネシアの電力事情

インドネシアの電力事情は決して良いとは言えません。

今日も大手金属鉱山の会社を訪問してしましたが停電がありました。

現地の方々も電力事情が良くないので、進出の際には補助電源の確保が必要だと多くの方がおっしゃいます。

電力を生み出すための手段はたくさんあります。

今日はそのうちの一つにお邪魔しました。

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ジャカルタ

インドネシア出張です。先日ジャカルタ中心部でテロが発生しました。

ショッピングセンターも幹線道路も人通りが少ないようです。

残念ですね。

途上国では電力事情がよくありません。

我が国の技術が活かせる場が幾つもあります。

でんきの市場は、新電力の促進の他にも、水素エネルギー促進や、我が国の優れた技術の海外展開支援を行っています。

FITの買取インセンティブ

根本的な話として、FITは小売電気事業者に対して「買取インセンティブ」を与える制度でしたか?

これは多くの人が疑問に感じている点だと思います。この点については既に議論がなされています。


 

回避可能費用を市場価格に連動することについて、一部の新電力等(オブザーバー)からは、以下のよう な主張がなされた。

1再エネを市場価格より安く調達できなくなり、新電力にとって再エネを買い取るインセンティブがなくなる。 2新電力にとっての電気の調達単価が変動することになり、経営リスクが高まる。 3現行の回避可能費用と市場価格の構造的な値差を原資に再エネ事業者にプレミアムを支払うこととしており、回避可能費用が市場価格に連動されれば、その原資が捻出できなくなり、発電所の維持ができなく なる。

2. 上記のような主張も踏まえ、ワーキンググループにおいて、以下のような整理がなされた。

1FIT制度上、小売電気事業者は「買取義務者」であり、正当な経済的補償(交付金)を得ることになっているのみであり、そもそもFITは小売電気事業者に対して「買取インセンティブ」を与える制度ではない。 2回避可能費用は法律上、「再生可能エネルギー電気の調達をしなかったとしたならば当該再生可能エネ ルギー電気の量に相当する量の電気の発電又は調達に要することとなる費用の額」と定義されている。 これまでも、電力会社の料金改定や燃料費調整制度にリンクして変動してきたように、固定的に低い水 準を保証しているものではない。そもそも、震災以降、市場価格が比較的高水準で推移しているものの、 これは電力の需給が比較的厳しいことを反映しており、中長期的には、原発の再稼働の状況や再エネ導入によって変動し得るのではないか。 3発電所の採算性はFIT価格で保証されているものであり、発電所の採算性を維持するために低い回避可能費用を前提として買取価格において任意にプレミアム付けを行ったとしても制度上保証されるもので はない。


 

回避可能費用の謎

再生可能エネルギー賦課金=再エネ買取費用−回避可能費用

ですので、回避可能費用が高ければ、負担しなければならならない金額(賦課金)が減ることになります。可能回避費用とは、電力会社が再生可能エネルギーの電力を買い取ることで、 その分発電をしなくて済むので、燃料費や発電設備を削減できる費用分を意味します。

 

これについては、分かりやすい解説がされています。

https://jref.or.jp/images/pdf/20130919/20130919JREF_Avoided_cost_analysis.pdf

以下引用です。

「すべての電源の燃料費 などの運転単価 の平均値を使っています。つまり、水力発電や原子力発電、火力発電 厳密には可変費用とされ、燃料費や他社からの電力購入費、使用済燃料再処理等発電費、廃棄物処分費などが含まれる。 といったすべての電源の運転単価を足し合わせて、すべての電源の総発電量で割った値である。た とえば、原子力発電の運転単価が 1 キロワット時あたり2円とし、火力発電の運転単価が同 8 円と する。それぞれ同量ずつ発電するとすれば、両電源の運転単価の平均値は 1 キロワット時あたり5 円となる((2+8)÷2)。

この全電源の運転単価の平均値を使った方法は、実際の回避可能費用を計測する方法としては妥 当な方法とはいえない。なぜなら、自然エネルギー電力を買取るとき、電力会社にとっては、もっ とも単価の高い電源から優先的に削減するほうが経済上合理的だからである。上の例でいえば、自 然エネルギー電力を購入したときに、1キロワット時発電するのに 2 円の運転単価がかかる原子力 を停めずに、8 円の火力発電を減らしたほうが電力会社にとっては経費節減につながる。このとき、 回避可能費用単価は 1 キロワット時あたり 8 円ということになる。欧米における回避可能費用の試 算では、こうした考え方がベースにされている。」

市場価格

市場価格とは何を意味するのでしょうか?

有限責任中間法人 日本卸電力取引所のホームページです。 http://www.jepx.org

JEPXではスポット市場(翌日に受渡する電気の取引を行う市場。一日を30分単位に区切った48商品について取引を行う)時間前市場、先渡市場などが用意されており、多くの取引が行われています。市場価格ですので、売り買いが均衡したところで価格と量が決定されます。ここは多くの参加者が公平に取引を行いますので、健全な市場が構成されています。

 

一般電気事業者が支出を免れた平均費用ベース

『現在、再生可能エネルギーの買取りに伴って一般電気事業者が支出を免れた平均費用ベースというものを中心的な価格として考えておりまして、仮に卸電力市場の取引価格がこれより高い場合は、確 かに買い取った再エネ電気を市場で転売することで利益が上げられるという構造になっているということは事実でございます。』とあります。

 

 

議員が指摘している市場とは、「卸電力市場」を意味しています。

では、卸電力市場の価格の方がなぜ、「買い取った再エネ電気」よりも高いのでしょうか?

常識的に考えて、

「一般電気事業者が支出を免れた平均費用ベースというものを中心的な価格」の決定方法に課題があることがわかります。

 

では、一般電気事業者が支出を免れた平均費用ベースとは何を意味するのでしょうか?

 

だんだんと複雑な話になってきています。制度としてもっとシンプルに誰もがわかりやすくしたほうが良いのでしょう。

例えば、再生可能エネルギー賦課金は、再エネ買取費用+事務経費−回避可能費用で決められますが、事務経費の透明性は利用者にとってはわかりづらいものですし、金額が総量から考えると軽微なので、税金で賄ってしまっても良いのではないでしょうか?

再生可能エネルギー賦課金=再エネ買取費用−回避可能費用とした上で、

再エネ買取費用の決め方と、回避可能費用が公平で分かりやすい仕組みにして、複雑な部分は第三者検証機関が確認を行うようにしても良いのではないでしょうか?

 

賦課金・回避可能費用

回避可能費用の算定方法の見直しについてとの題目で平成27年5月18日付で 資源エネルギー庁がディスカッションメモを公表しています。

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/kaitoriseido_wg/pdf/006_01_00.pdf

この中で、次のような環境委員会でのやり取りが記載されています。

【参考】市場転売に関する参・環境委員会での審議(抜粋)(2015年4月7日)

○清水貴之議員(維新) 四月一日の日本経済新聞に出ていた記事で、転売をしている業者の話なんですけれども、電力小売が企業に売るよ

り市場価格の方が高いですから、直接企業に売るんじゃなくて一旦市場の方に流してしまうと、大体十円前後で売って いるものが十五円とか二十円とかで売れるから、その分の差益というのが利益になっていると。大体一億円を超える利 益を得たケースがあると。その買って売る差の分というのは、政府からの補助金が大体二十円出ているということです から、言ったら国民のお金が入っているわけですね。それを本当は小売にしなきゃいけないのに、市場の方が高いから と流してしまって利益を得ている。だったら、国民負担をもっと減らせばいいわけですから、こういうところも、額にしたら それほど、でも一億円出たら大きいですよね。大きな額になっていますので、この辺りもしっかり見ていっていただきたい。

こういう、不正とまでは言えないのかもしれませんが、ある意味抜け道的なところ、国民負担を減らすための少しでも 努力をしていただきたいと思うんですが、まずはこの現状についてどう把握していらっしゃって、どう対策取っていくつも りか、お聞かせいただけますでしょうか。

○政府参考人(木村陽一省エネルギー・新エネルギー部長) 御指摘について申し上げますと、現在、再生可能エネルギーの買取りに伴って一般電気事業者が支出を免れた平均費用ベースというものを中心的な価格として考えておりまして、仮に卸電力市場の取引価格がこれより高い場合は、確 かに買い取った再エネ電気を市場で転売することで利益が上げられるという構造になっているということは事実でござ

います。現在、国民負担によって御指摘のとおり支えられている制度でございますので、こうした状況を見直すべく、回 避可能費用につきましては卸電力市場価格に連動する方式に今見直しを進めているところでございます。

仮にこの方式にしますと、市場に転売しても利益が発生することはございませんので、引き続き問題意識を持って検 討を進めてまいりたいと考えてございます。

○清水貴之議員

ということは、やはり今市場で売って利益を得ている業者がいるというのは問題であるという認識を持っていらっしゃる ということでよろしいですかね。

○政府参考人(木村陽一部長) その点については、そのような認識で私どもとしても考えてございます。

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この議論の意味はお分かりになりますでしょうか?

国民が負担している賦課金を使って裁定取引を行っていることを指摘しています。

 

ちょっと内容が複雑になってきましたが、賦課金・回避可能費用の核心に触れてくることなので、さらに深掘りしてまいります。

一休み

でんきの市場は今日も東奔西走。

今日は、東北での会議に参加しました。

電車が混んでいたので、はやぶさのグランドクラスに乗ることになりました。

食事とアルコールも配られるのですね。

知りませんでした。

サンドイッチとお茶を持参してしまいました。

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さすがに快適です。

ずんだ餅

好物です。

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